言論NPOの世論調査

第5回日韓共同世論調査について

工藤泰史を代表とする特定非営利活動法人言論NPOが、2017年7月21日、韓国の東アジア研究院(East Asia Institute, EAI)
と共同で行った第5回日韓共同世論調査結果を公表。

・調査目的
日韓両国民の相手国に対する理解や認識の状況やその変化を継続的に把握することで、
両国民の間に存在する様々な認識ギャップの解消や相互理解の促進に貢献すること。

・調査結果
日本側の世論調査は、日本の18歳以上の男女を対象に6月17日から7月2日まで訪問留置回収法により実施された。
これに対して韓国側の世論調査は、韓国の19歳以上の男女を対象に6月11日から6月29日まで調査員による対面式聴取法により実施。
今回の調査結果では、相手国の印象について日本世論では悪化した一方、韓国世論は改善の兆しが見えた。

 一方、日韓が直面している最大の脅威として、北朝鮮の核問題などの脅威、米新政権の方針などに懸念は共有しながらも、
日韓両国、北東アジアの将来については協力の将来像を描けていないことが明らかになった。


言論NPOの直近の議論や評価活動

主要7政党のマニフェストは課題解決のプランとしては不合格

  • 評価方針
自民党・公明党・希望の党・立憲民主党・日本維新の会・共産党・社民党の主要7政党による2017年衆議院選挙のマニフェストの経済・財政・社会保障・外交安全保障・エネルギー環境に分けて333人にアンケートを取り、形式要件40点、実質要件60点の100点満点で評価してもらった。

  • 評価内容
各政党の評価の平均としては前回までと同様に低い評価が目立った。
最高得点を獲得したのが自民党で32点となり、次に公明党の23点。
希望の党と共産党で18点、日本維新の会16点、社民党12点、立憲民主党10点と10点台が最も多く、マニフェストとしては不合格であろう。
評価がこれまで低くなった理由としては、解散が急であったことが挙げられる。
新政党が立ち上げになったこともあり、準備が十分にできなかったのであろうが、マニフェストが国民との約束事であるという意識の低さが露呈している形となった。

  • 感想まとめ
国民が各政党に求めているのは、現在日本が直面している課題に向けてどう取り組んでいくのかが問題で、具体的な案件の説明を求めている。
そのため各政党には、問題解決の糸口となるべくプランを詳しく提示してもらう必要がある。
今後の選挙でもしっかりとしたマニフェストが提起されなければ政治への信頼度も低くなってしまうだろう。


北朝鮮危機と日本の有事体制

  • 議論の方向性
北朝鮮と依然として対立関係が継続されるなかで、現在も衝突の可能性が高くなっている状況の中で、軍事衝突ではなく外交解決にできないのか、現状の危機的状況はそれぞれがどのように解釈しているのかが機論の中心となった。

  • 対話内容
本来であれば北朝鮮との関係は外交交渉において解決することが望ましいが、北朝鮮が交渉に応じないだけでなく、アメリカが制裁を強めても効果が期待できず、さらに北朝鮮との関係が悪化していることが今後どのような結果になるのか、さらに軍事衝突の可能性が高くなっていると指摘。
短期的な解決も難しく、長期的な問題になるだろうとの見通しをたてた。
また北朝鮮の能力を過大評価しても過小評価してもリスクが高いことから、アメリカの北朝鮮対策を立て直さなければ外交的な解決に結びつけても効果がないと指摘する声もある。
北朝鮮が短期間で核開発を進めていった結果、核保有国として認めなければならない現状が近付いていて、今後3年間しっかりとした対策を取らなければ大きな危機が訪れる可能性があると述べるものもいた。

  • 感想まとめ
北朝鮮の核開発阻止のためには日本とアメリカの協力体制だけでなく、トランプ政権の立て直しや日米同盟の強化、他国ともさらなる協力関係が必要となると考える。
全く予測できない北朝鮮だからこそ、慎重に進めていきながらも慎重になりすぎない姿勢を取ることが難しく、1つの変化がどう影響を及ぼすのか不安が募る。
今後早い解決が望まれる。


安倍政権の実績評価11分野の平均点は2.4点(昨年2.7点)に下落

  • 評価方針
2012年、2014年の衆議院選挙と2016年の参議院選挙、その他安部首相からの施政方針や表明演説などから公約内容を選定し、評価を行った。

  • 評価内容
安部政権が発足した2012年12月から今までの実績評価は、11分野の観点から議論され、平均で5点満点中2.4点となった。これは昨年末に行われた際の点数2.7点から0.3点分下落しており、中でも財政分野が0.7点分、政治・行政・公務員制度改革が0.4点分ずつ下落しているのが目立つ。全体的にはそれら2分野を含めた7分野の評価が下落しており、今回評価が上がった分野は無かった。
主な要因としては基礎的財政収支の黒字化達成を断念したこと、PB黒字化自体は堅持したが具体的な目標や達成法などの展望を示せなかったこと、第二次安部政権発足当初から掲げていたアベノミクスの数値目標についてもうすぐ5年経過する今でも達成目途が立っていないことなどが考えられる。
しかし今までの歴代政権に比べれば高い水準を保っていると言える。

  • 感想まとめ
第二次安部政権が発足してから、今年の12月で5年となる。アベノミクスをはじめとした政策が達成されれば評価はさらに好転すると思うが、4年10ヶ月経っても具体的な目途が立っていないのが評価を下げる原因になっている。
高い水準を保ったまま今後どう具体策を挙げ、達成していくかが見所になる。


衆議院選挙主要5党・言論NPO対談

  • 議論のテーマ
衆議院選を競う主要5党は日本が抱える課題についてどこまで真摯に考えているのか、解決に向きあう姿勢を持っているのか、それともただ勝つことを重視しているのか、マニフェストには読み解くことが難しい疑問をぶつけるために言論NPOが各党と議論を交わした。

  • 議論の内容
自民党の公約は北朝鮮の対応と消費税の使途変更であり、北問題は今後も国際社会との連携を重視して圧力を固める姿勢を見せ、消費税の使い道は育児や教育への投資へ一部変更すると掲げている。
その一方、希望の党や公明党、立憲民主党は安倍政権の暴走を阻止することが大方の目的であり、憲法改正や消費増税の否定や森加計問題の指摘などを公約している。
公明党も森加計問題や憲法改正の話題に触れつつ、教育負担の削減や経済再生、復興など具体的な公約を掲げた。

  • 感想まとめ
希望の党や立憲民主党の立ち上げにより、国民は大いにかき乱された選挙となった。
今回の衆議院選挙は森加計問題などの疑問が払拭できていない状況でも、自民党が優勢だった。
これは自民党の公約に賛成できるかどうかよりも、他の4党が掲げる具体的な政策が見えず、日本が抱える問題と真剣に向き合っているのか不透明な部分が目立った結果によるものだと考えられる。


言論NPO緊急座談会

  • 議論の方向性
アメリカが北朝鮮に新たな制裁を科す決議の草案を国連安保理に提示するなど、北朝鮮問題の新たな展開をどう見るべきなのかが話し合われた。

  • 対話内容
北朝鮮の大陸間弾道ミサイルや核弾頭の開発はかなり進んでいると見られ、核実験強行の目的はアメリカとの交渉であると主張している。
アメリカが提出した制裁決議案についてはこれから交渉が始まると見られるが、妥協案が見つからなかった場合安保理が機能不全に陥るという懸念が示された。
制裁の鍵を握る中国とロシアについては、両者間に温度差があるのではないかという意見が上がった。
香田氏は、ロシアはアメリカが北朝鮮への対応に追われると他地域でのアメリカのプレゼンスが相対的に弱まるため国益が大きい、対して中国は北朝鮮をコントロールできない焦りを感じているとした。
北朝鮮問題解決に向けた日本の行動については、日本自身が法体制を整備していくことや対北朝鮮政策の中心となる司令塔、欧州への働きかけの必要性が挙げられた。

  • 感想まとめ
議論の最後には「北朝鮮問題は日本国民にとっても関係のない話ではない段階に入っている」いう見方が示された。
対北朝鮮政策のアイディアや他国へのアプローチなど、日本国内での取り組みを見直す必要がある。


日米中韓4カ国対話・公開フォーラム

  • 議論のテーマ
日本と中国、韓国といったアジア3国にアメリカを加えた日米中韓4カ国で、主に北朝鮮の核保有問題についてアメリカはどう軍事行動を取るべきなのか、軍事行動を回避しつつ核保有を止めることはできないのか、核保有を止めるのに必要なことは何か、といったテーマで議論が展開された。

  • 議論の内容
各国の意見として、日本側は対話と圧力を重視していたが脅威が増すに連れて圧力の優先にベクトルを置くようになり、日米韓の3カ国が連携し北朝鮮に対して抑止する必要があるという意見が出た。
アメリカ側の意見としても「圧力にせよ、ミサイル防衛にせよ、外交交渉にせよ一貫した政策を確立することが必要だと語っている。
韓国側の意見では、軍事行動は北朝鮮の脅威が各国国民に向けられる可能性が高いとして危機感を強めており、軍事行動による圧力はあくまでも最終手段であり、まずは経済制裁を行なっていく必要があると述べた。
また、中国側も軍事行動に関しては慎重的な意見で、適切ではないとしている。

  • 感想まとめ
ここ数年で北朝鮮問題が何度も取り沙汰されるようになり、各国の緊張感も高まっている。
今回の対話でも各国同士が意見を伝え、それを共有することで互いが理解を深め、北朝鮮問題の解決への着実な一歩につながったと考えられる。


有識者・専門家333氏の安倍政権の通信簿と日本政治の評価

  • 評価方針
言論NPO代表者工藤泰志氏は、安倍首相に対する「首相としての資質」への評価アンケートを10月17日まで行った。
回答者は有識者や専門家を対象に333氏が回答し、安倍政権への評価を問いただすと共に日本の将来像を見据えた政策に今後も取り組んでいく。

  • 評価内容
4年9ヵ月時点のこれまでの安倍政権の実績評価は、5点満点のうち平均2.4点で昨年の2.59点から後退する結果となった。
また、今回の衆議院選挙に関して「納得していない」という回答が7割を超え、「安倍政権継続の確信を問う選挙」との回答が約4割、「何を問うための選挙かわからない」と答えたのが約3割となっている。

  • 感想まとめ
今回の評価アンケート結果が後退した理由は、日本の黒字化を実現できていないことと安保法制の方向性に疑問を抱いていることが最も大きく関係しているのではないかと考える。
また、解散総選挙をこのタイミングで行うこと自体が信を問われる要因になっているのではないかと思う。
国民を意識した解散でないことも安倍政権を低く支持していることに違いない。
この現状が今後のアベノミクスにどう影響していくか、肯定的な見方が増えていくことは難しいだろう。


アベノミクス実績と今回の衆議院解散で説明すべきこと

  • アベノミクス実績と経済分野における議論
4年9ヶ月を経たアベノミクスの実績と今回の選挙の有権者は経済分野において各党にある政策の何を見ればよいのかを議論した。
議論を行ったのは、日本総研副理事長の湯元健二氏、富士通総研エグゼクティブ・フォローの早川英男氏、東短リサーチ社長の加藤出氏の3氏である。

  • 厳しい評価となったアベノミクス
アベノミクスの評価に対して3氏は共に厳しい評価を述べた。
そのうちの一人、湯元氏は「ミクロ分野では成功したが、マクロの経済成長や物価上昇に関しては完全に失敗している」と評価している。
企業業績は5年連続で増収増益となり過去最高の数字にまで上昇しているが、それが賃上げや設備投資、個人消費の増加につながっていないというのが現状である。

  • 各政党の経済政策に注目することが重要
日本経済が良好になりつつあるのは、果たしてアベノミクスによるものなのか?これは誰も推測できないことだ。
消費増税についても、10%にすることは簡単だがその後どうやって景気を維持していくのか、これを先送りにしてしまっては困る。
5年近く経済政策を起こしてきたものの、あまりに変化が乏しすぎる。
これほど時間がかかってしまうということはもはや成長戦略も限界なのだろうか。
有権者も各政党がどのような構造を考えているのか、現段階の日本経済をどう見ているのかをきちんと見極めて欲しい。


外交・安全保障を政治家は有権者にどう訴えるべきか

  • 選挙でも関心がもたれた外交・安全保障
今回の選挙で外交・安全保障の分野で政治家は何を語るべきか元中国大使の宮本雄二氏と慶応義塾大学准教授の神保謙氏が言論NPOのインタビューに答えた。

  • 北朝鮮の問題を政治家はどう有権者に示すべき?
今回の選挙では政治や北朝鮮の問題解決に政治家が有権者にどう訴えかけるか気になる内容となった。
宮本氏は北朝鮮の核放棄まで長期的なプロセスが求められ、安全保障問題は国民の生命や財産、さらには近隣国の被害にも直結する問題と認識した上で、最悪の事態から避けるために全力を尽くすことを示してほしいと答えた。
一方、神保氏も北朝鮮の問題は長期化することを見込み、安全保障の評価が高い分、上手くいかなかった部分を具体的に議論することが重要で、国民や世界秩序が望むものを明確にし、アメリカや周辺国との関係改善の選択が必要だと答えた。

  • 専門家の言うとおり、具体的な議論が必要
北朝鮮の問題は日本だけではなく、周辺国やアメリカを脅かす難しい問題であり、同時に多くの国民が関心を示す話題だ。
選挙中も北朝鮮問題や核放棄に触れる政治家も多いが、今のところ具体的な議論は交わされていないように思える。
日本では多くの問題があるが、北朝鮮に関する問題は長期的なプロセスが求められるため、安倍政権をはじめ政治家は具体的な議論を交わし解決へのプロセスを構築してもらいたい。


政治は社会保障問題で有効な解決策を打ち出せるのか

  • 社会保障問題の専門家3氏による議論
言論NPOでは、法政大学経済学部教授・小黒一正氏、立教大学大学院特任教授・亀井善太郎氏、明治大学政治経済学部教授・加藤久和氏の3氏を迎え、社会保障問題が選挙でどう取り上げられるのか、議論が行われた。

  • 「全世代型の社会保障」という考えについて
特に注目すべき点として、「全世代型の社会保障」という安倍首相の発言である。
この発言に対し小黒氏は、「いまの社会保障は高齢世代に支出が偏っており、全世代型、子育て支援等の拡充が大事なことは明らかだが、財源には限りがあり、高齢世代の支出を抑制せずに拡充を目指すのは、方向感として間違っている」と指摘した。
また、加藤氏は全世代型の社会保障というと、単なるばら撒きになってしまう可能性が高いと警告している。

  • 政党は具体的な解決ビジョンを提示する必要がある
全世代型の社会保障というと響きは良いが、それを実現させていくプロセスと課題は重要な問題である。
今回の選挙でも社会保障に関する政党の意見が多く述べられているが、より具体的なビジョンを提示できる政党を選ぶことが重要と言えるだろう。
将来的に高齢の貧困層がより増える可能性があるが、そこも含めて全世代への社会保障はどうしていくべきなのかという議論は重要項目の一つとして考えられる。


課題解決に向けた政治を目指すための一歩に

  • 政治学者による日本の民主主義における課題を議論
今回、言論NPOでは衆議院解散、及び野党第一党の分裂において、現在の政党政治の課題はどういった部分にあるのか、東京大学大学院総合文化研究科教授・内山融氏、津田塾大学学芸学部教授・網谷龍介氏、政策研究大学院大学教授・竹中治堅氏の3人をゲストに迎え、議論を行った。

  • 「選挙に勝つ」が目標となっている政党政治
内山氏は「英国のように解散権に歯止めがあるべき。そうした点では"大義なき解散"として、解散権の自由な行使を問題提起した野党には意義があった。また、日本の政党は根無し草のようなもので、個人が組織した後援会が集まり、そこから生まれた政治家が集合して政党が出来ているようなものだ」とし、現在の政党政治に対する見解を述べた。
また、竹中氏も今の政治家は政策を重要視するのではなく、いかに選挙に勝つかを重要視しており、今回民進党の政策とは全く違う希望の党への入党もこうした理由から考えられることだとしている。

  • 有権者にできることとは何か?
今回の選挙では、マニフェストを提示しない政党もあり、有権者としても不信感を抱いた人も少なくないだろう。
こうした中で有権者ができることとしては、やはり目立つものばかりに囚われず、各政党の政策をしっかりと見極め、選挙に行くことが大切であると考えられる。


ドイツ・ハンブルグG20サミットの評価とは

  • 7月のG20サミットについての議論
7月にドイツのハンブルグでG20首脳会議が開かれた。
懐疑的な声もある中、不公正な貿易慣行に対しての対抗措置を容認することでG20はなんとか結束を保っている。
今回はG20そのものの役割などを含めて、会議を評価した。

  • 先行き不透明な国際情勢
今回のサミットではトランプ大統領との意見の相違が露見するなど、グローバル化の発展を認める反面、グローバル化による所得格差などの問題があるのではないかとの指摘がなされた。
グローバル化によって移民問題など様々な問題が現われたが、トランプ大統領を反面教師にしてEUの結束はむしろ強まっている。
国によって大きな格差が生まれているが、気候変動のパリ協定で曲がりなりにも合意文書がまとまったのは一つの成果であるという意見が上がった。
しかし国際機関によるガバナンスの機能については先行き不透明な部分が多く、国際、国内両面での政策調整が不可欠であるという指摘がなされた。

  • グローバル化において今後必要なもの
G20サミット開催国であるドイツはトランプ大統領との共存の道を苦労しながら見つけ出したと言える。
しかし、G20の結束は堅いとは言えず、新興諸国がG20の経済運営のやり方に共感しているとは限らない。
グローバル化の利点を高めるためには、その背景にある人々の不満を解消していく必要がある。


ワールド・アジェンダ・カウンシル(WAC)第2回会議報告

  • WACに対する国内での議論
9月12日に言論NPOが開催した「ワールド・アジェンダ・カウンシル(WAC)」の第2回会議では、グローバルな課題の解決に向けた日本国内の議論形式、その解決策を発信するための議論がなされた。

  • 東京会議に向けた報告と議論
会議の最初に第2回東京会議に向けた準備状況の報告がなされた。
東京会議のミッションは、自由・民主主義の価値を共有する主要10カ国の知識層と世界が直面するグローバルイシューや喫緊の課題について議論し、日本政府、G7サミットなどに提案するというものである。
東京会議で議論すべき主要アジェンダや発信すべきグローバルイシューは何かなどについて、1時間に渡る意見交換を実施。
この中では、アメリカのリーダーシップ、グローバリゼーションの現状、自由貿易、多国間国際協調の行方、気候変動問題など、様々なテーマについて問題が提起された。

  • 東京会議の役割とは
グローバリゼーションによって難民問題や所得格差など、各国の立場に大きな差が生まれている。
東京会議でのアジェンダを固めることが、2018年のG7サミット議長国であるカナダとの議論を円滑に進める助けになるだろう。
国際的な問題を解消するためには、まず国内の意見や方向性を固めていかなければならない。
東京会議での議論や提案が、グローバルイシュー解消に向けて何らかの手がかりになることが期待される。


消費税の使途変更で財政再建は困難を極める?

  • 今後の財政再建について語る
安倍首相は選挙で消費税の増収分を教育無償化にあてると解散の大義を主張し、これにより2020年度に基礎的財政収支を黒字化する目標達成は難しいと表明したが、今後の財政再建がどうなるか言論NPOは専門家と議論を交わした。

  • 消費税の使途変更と財政再建について
安倍首相が消費税の使途変更について、大和総研政策調査部長の鈴木準氏が別のことに使えば財政収支は悪化の道を辿り、財政健全化は厳しいと指摘。
慶応大学教授の土居丈朗氏は2020年度の健全化をストレートに諦めたことへのいい口実を探していたのではないかと答えた。
大学改革支援・学位授与機構特任教授の田中弥生氏は以前から目標達成は困難であり、政府が明確な答えを出さずにいたことが問題と指摘した。
財政を立て直さない限り日本は衰退化する危険性を指摘し、なんとなく無償化にするのではなく、無償化によりどんな効果があるか不明なまま財源を注ぐことは化学的な政策ではないと鈴木氏はさらに語った。

  • 今回の議論における感想
日本の財政赤字は社会保障費が大きな原因とされている。
選挙後は社会保障の見直しが期待されているものの、明確なビジョンはまだ建てられていない状態だ。
財政再建に消費税は有効だろうが、賛成と反対両方の意見に傾き、反対であればどんな方法が適切なのか具体的なロードマップを描く必要があるだろう。


民主主義の信頼を回復するためには

  • インドネシア元外相に行った民主主義に対する質問
世界でも民主主義が試練を迎えているといわれている昨今の実情をインドネシアの元外相、ハッサン・ウィラユダ氏に意見を聞いた。

  • 民主主義の信頼を回復させることは可能か
民主主義の信頼が失いかけているが、その信頼を回復できるかハッサン氏に質問したところ、出来るとの回答が得られた。
その理由としては、民主的に選ばれたリーダーであっても人々が望んでいたリーダーでないことがあり、良いリーダーが選ばれていない現状がある。
有権者の怒りや不安に訴えているだけであってどのような政策であるのかが伝わっていないことが原因であることが考えられる。
感情に訴えるだけではなく、有権者は候補者の政策についてしっかりと理解し、公平で自由な選挙を行うことが重要。
そして、民主主義を刷新する努力をしていかなければならない、ともハッサン氏は言っている。
民主主義の信頼については日本だけではなくアジア各国で問題視されている。
そのため、問題を共有して経験や成功事例を話し合う機会が必要であり、度重なる刷新を行うことで信頼を回復することができると答えた。

  • 回復させるための有効な手段
有権者は政策の内容をしっかりと把握することが重要である。
そして、政府はアジア各国と協力をして民主主義の促進について話し合うことが必要だろう。


民主主義を立て直すための議論

  • 民主主義を立て直すための議論
9月8日に開催された「第3回アジア言論人会議」において、アジア各国が発展して明るい未来を築くためにも民主主義を立て直すための努力が必要であるとの議論が展開された。

  • アジア各国の世論調査結果による見解
アジア5ヶ国で行われた共同世論調査の結果により、民主主義が崩れないよう日頃から監視する努力が必要であるとの見解が出た。
インドネシアの外相・ハッサン氏は国民が民主主義に対する感情が変わったと指摘した。
パラビ・マイヤー氏はインドでは国民の45%が民主主義を最善であるとは考えておらず、実行力のある政治家を求めているとインドの現状を話した。
日本でも2割近い国民が民主主義以外の形態でも問題はないであろうとの回答があり、「政治に対する評価が厳しくなっている」と自民党の逢沢一郎議員は答えた。

  • 民主主義を立て直すためには「信頼」が鍵
世論調査の結果からもわかるように国民は民主主義に不安を抱えている。
それを解決するためにも国民が政党や国会だけではなく、メディアへの信頼度を上げることが肝心であることが推測される。
そのためにも、メディアが政治の本質についてしっかりと報道することが大切となるであろう。


北朝鮮問題へ新たな制裁決議、日本はどう行動するか緊急対談

  • 挑発が続く北朝鮮に新たな制裁を提案
核実験など北朝鮮の挑発がエスカレートし、日米など各国は新たな北朝鮮への制裁として9月3日に決議草案を国連安保理に提示した。
国連制裁決議案が提出された9月7日に言論NPOは新しい展開をどう見るか、北朝鮮問題を熟知した三氏の専門家とともに緊急対談を開いた。

  • 事実上の孤立をさせる制裁決議
今回提出された制裁は北朝鮮を事実上の孤立を促す内容となっており、これに対して中国とロシアは対話の姿勢を崩さない。
日米は中国とロシアのどのように絡めていくかがポイントと専門家は語る。
元防衛事務次官の西正典氏は制裁の成否は日本の行動にかかっていると話し、中国へ「圧力をかけてください」とお願いするだけではなく、日本自信が行動する考えも必要と語った。
さらに、中国にプレッシャーを与えるため、日本の法体制を設備する取り組みが必要とも指摘。
また、アメリカは北朝鮮問題に人的資源を投入していないことを指摘し、日本は何をするべきか主体的に考え、アメリカに進言することも重要と話した。

  • 今や北朝鮮問題は日本国民全体の問題
ますます深刻化する北朝鮮問題だが、日本国民も問題の重要性を再認識する人が増えている。
国だけに問題を任せるのではなく、国民全員で北朝鮮問題にどう取り組むべきか真剣に考える必要がある。


北東アジアを平和のために交わされた日中安保関係者と意見交換

  • 日中安保に関する対談を開催
北東アジアの平和を目指すために、言論NPOは対談に取り組んでいる。
記念すべき第1回目は12人の日中安保関係者と両国の意見交換を交わした。
まず前半は北東アジアの平和のためにお互いの意見や疑問を交わし、後半からは北朝鮮の核問題に両国はどう取り組むべきか話し合った。

  • 今回の対談で示された両国の意見や疑問
はじめに日本は将来のビジョンが日中で共有できない状態では摩擦が起こると意見し、両国の情報の意思疎通が不足していると説明、日中の保全の食い違いは双方の理解が必要と述べた。
一方、中国側は日米同盟に関して日中両国の理解の方向が違うかと問いかけ、双方の食い違いを整理して、「心の障害」を取り除くことを注文した。
後半の核問題では日本全体が北朝鮮の制裁に本気で取り組む意思があるか中国側から質問し、核保有の認知は体制崩壊の危惧から容認していない。
今回の対談で中国側が日中の協力で核の脅威を減らし、北朝鮮の望むものを理解して交渉の場に持って気構えで勧めると告げ、日本も日中で危機管理を総括していくと結論づいた。

  • 日中の協力が北東アジアの平和への第一歩か
日米関係が深まる一方、日中の関係はやはり食い違いが生じていることが対談で明らかになった。
中国側も日本との協力には前向きな姿勢であり、今後は連携して北朝鮮との交渉をどう有利にしていくのか、両国でもっと深い議論が求められるだろう。


世論から浮かび上がる民主主義の問題

  • 民主主義への信頼
日本、インドネシア、インド、マレーシア、韓国の5カ国で実施した民主主義に関する世論調査結果について、記者会見が行われた。
日本国内では民主主義への信頼が根強いものの、民主主義の機能を疑問視する声や、政治形態にこだわりがないといった声も聞かれたことが説明された。

  • 民主主義に関する世論調査のポイント
世界の民主主義の動向は概ね楽観的に捉えられているが、危機的、困難な状況とする意見も日本では2割、インドネシアでは4割を超え、無視できないものとなっている。
また、民主主義が機能しない理由としては「政治は選挙に勝つことだけが自己目的となり課題解決に取り組んでいない」、「政治、行政の汚職」を指摘する国民が多く、各国似た結果となった。
「政党に課題解決を期待できるか」との問いでも、日本の約6割、韓国の約5割、インド国民の約4割が「期待できない」と回答している。

  • 民主主義の信頼向上に必要なものとは
国会・議会、政党に加えてそれらを監視するメディアへの信頼が低い傾向は民主主義を機能させる上で無視できないポイントだ。
日本国内では、課題に向き合わない政治家の代わりに自衛隊や警察など、政治家とは別のリーダーを選ぶ現象が進行している。
民主主義への不信感は参加5カ国に共通するもので、この不信感を解消することが、民主主義を強く鍛え直すことに繋がるだろう。


民主主義が直面する試練とこれからの取り組み

  • 民主主義を機能させるために必要なものは何か
第3回アジア言論人会議第1セッションでは、民主政治の欠陥やメディアの信頼度の低さなどについて議論がなされた。
これを受けて第2セッションでは、民主主義の試練を乗り越えるためにどのような取り組みを行うべきなのかが議論された。

  • アジアの民主主義の現状
メディアのあり方については、議論が行われたり活発に報道されるのは成果が上がっていない分野であり、成果が上がっている分野は話題になることもないという意見が上がった。
自分の主張を伝えるためにメディアを介さずSNSを使用する政治家が増えたため、ソーシャルメディアの存在感は大きくなっていると分析される。
アジア各国の参加者からは民主主義がこれから大きな試練に直面するという警鐘が鳴らされた一方、民主主義のクオリティを高める新しい努力の始まりなど、明るい兆しが見えるとの声も上がった。

  • 民主主義におけるメディアと有識者の役割
メディアによる嘘の情報の発信は民主主義を揺るがすものだ。
これからのメディアは誤報を減らすことに努め、地道に信頼を回復していく他ないだろう。
民主主義を機能させるためには、絶え間ないメンテナンスが必要である。
そのためには専門家・有識者が政治に対する責任を果たすこと、国際的な成功事例を各国が共有することが重要だ。


日韓未来対話・公開会議第2セッションの議論は北朝鮮問題

  • 北朝鮮核開発への解決策を探る
現在、北朝鮮は核・ミサイル開発を止めることなく、国際社会に対して挑発を続けている。
日韓未来対話の公開会議第2セッションでは、「北朝鮮の核・ミサイル問題解決に向けて、日韓は何ができるのだろうか」という点をテーマに議論されることとなった。

  • 日韓の連携は大きな鍵となる
北朝鮮の核開発を止めるために、これまで世界各国は国連制裁や外交交渉、対話を主に行ってきた。
しかし、それらはすべて失敗に終わり、むしろ核開発を加速させる原因の1つともなっていたのである。
北朝鮮の核開発は、世界的に驚異であり、早急に解決しなければならない。
そのためには、関連国の協力が必要不可欠となる。

  • 日韓との連携は米国をサポートする
ミサイル問題は日本のみならず、近隣国にも悪影響をもたらす。
現在、米国は北朝鮮に対し、これまでにはなかった関心を見せている。
米国の積極姿勢をサポートするためにも、日韓に協力が必要となってくるに違いない。
むしろ、北朝鮮問題で日韓連携が実現すれば、これほどの好機はないだろう。
これからの北朝鮮問題解決に向けた具体的な取り組みが待たれる。
更に、民間の役割も早急に考える必要があるだろう。


日韓両国の関係性を改善するためには何をすべきか?

  • 日韓関係が悪化する現状に迫る会議
5年前の世論調査によると韓国人の8割は日本に良いイメージを持っていなかったが、今年になり56.1%に減った。
しかし、日本人は韓国人に持つイメージが5年前は37%だったが、現在は48%の割合でマイナスイメージを持っている。
両国の関係性が悪い原因は何にあるのか、共通課題の重要性、日韓の関係を修復するにはどんな取り組みが必要なのか、7月28日に日韓の識者が集まり非公開の会議で意見を交わし合った。

  • 関係改善の諦めムードが悪化を進める
同じ課題を持ちつつ関係が悪化の道を辿る現状に、東アジア研究院院長の李淑鐘は「過去の歴史問題と領土問題が両国関係を悪化させてきた」と語る。
他にも慰安婦問題や日韓が共有する利害関係の弱体化、両国の民主主義や愛国主義強化により感情的刺激なども悪化の原因と指摘。
また、韓国側の方が関係修復を強く望んでいるとも主張した。
元駐韓国大使の小倉和夫氏の話では、韓国人は日本と日本人を分けているが、日本人は韓国と韓国人を同視して国民性の問題を見ていると警告した。
日韓の関係は悪化よりも関心の薄さが問題であり、両国の関係を修復するかけ橋が必要と両国が思いを語った。

  • 日本国民が問題や課題を深く認識する必要性
日韓の関係改善には政府の動きだけではなく、日本国民全体が関心を持つことが重要だろう。
歴史や領土、北朝鮮など共通の課題が解決するためにも、両国の誤解を国民が理解することも大事だ。


日韓両国の専門家が日韓の関係性について意見交換

  • 日韓関係の今後を考える会議を開催
北朝鮮問題が大きくなることで、日韓関係の問題を発言する知識人や政治家がいない。
7月29日は日韓両国の政府関係者や政治家、ジャーナリスト、大学関係者を集めて日韓関係の未来について非公開の会議が開かれた。
日韓関係の改善に両国が取り組むことや北朝鮮問題の取り組み、韓国が日本に感じる本音を非公開の場で赤裸々に語り合った。

  • 政治ではなく市民団体間の交流が必要
元駐韓国大使の小倉和夫氏はターゲットを絞り、明確な目的を持った日韓交流が必要と提起。
それに対して元在日大使の申カク秀氏は北朝鮮問題での日韓協力が増え、文大統領が日韓安保協力に前向きだと公言した。
東アジア研究院院長の李淑鐘氏は歴史問題の認識ギャップを減らすためにも、両国の市民団体間での交流をする必要性を指摘。
後半の意見交換では、北朝鮮問題は日韓協力の重要性を両国が訴えた。
また両国の識者はエリート層が反日を政治に持ち込む傾向があるが、日本は謝罪ではなく誠意や誠を示すことが重要などとも語り、両国の7割が関係改善を求めていることから、今が動くチャンスと両国は提起した。

  • 両国民同士の関わりでギャップをなくす
北朝鮮の脅威や共通の課題が解決に至らない事情もあるが、韓国側は日韓関係修繕に前向きのようす。
関係悪化の要因には歴史が関わっており、両国の認識を正すためにも国民同士が交流して理解を深める必要がある。


日韓両国間の外交問題を改善するためには?専門家へインタビュー

  • 日韓関係について孫洌氏へインタビュー
第5回日韓共同世論調査に同席した孫洌・延世大学国際学大学院教授に、今回の世論調査結果の読み方についてインタビューを行った。

  • 世論調査では韓国は日本を肯定的に捉えている
今回行われた世論調査では、韓国人が日本に対して持つ印象が徐々に改善しているという結果が大きな特徴となっている。
しかし、調査結果の他の箇所には様々な分野において日本を脅威としてとらえる見方が増えてきていることも確かである。
日本社会や政治システムに対する批判的な認識も一定程度存在していた。
それにも関わらず日本に対して親近感を抱く韓国人が増えてきているという認識もある。
  • 日韓関係はもちろん他の問題にも目を向けるべき
慰安婦問題を含めた歴史問題については、日韓で解決する可能性は非常に低いと言われているが、この問題を解決できれば確実に日韓関係はプラスの方向へ進むであろう。
韓国側も解決に至るまでは長期間かかると判断しているだけに、再交渉を行っていく他ないだろう。
この問題に関しては解決にこだわるのではなく、懸命に取り組む姿勢を常に保っていくことの方が感情的な対立を避けることができるのではないだろうか。
慰安婦問題だけにとらわれるのではなく、北朝鮮の核開発問題やFTAなどの経済問題にも積極的に目を向けて欲しい。


日韓はどう見るべき?共同実施の世論調査結果発表

  • 第5回日韓共同世論調査の結果発表
韓国の東アジア研究院と共同で行われている「第5回日韓共同世論調査」の結果を発表し、今までの調査データと比較したことを解説した。

  • 今回の結果をどう見るか?
互いの国に対する印象は、日本は韓国の印象を良くないとする意見が48.6%と前年よりも悪化傾向にあったが、韓国は日本に対してのイメージが良くないと答えたのは56.1%と多い数字ではあるが、2015年度からの結果に比べると改善傾向にあり、良いと回答した人も増加傾向にあった。
その背景には互いの国をよく理解していないことや領土問題など、政治に関することもありましたが、最も認識がずれていたのが慰安婦問題で日本人の5割、韓国人の7割が解決していないと回答。
再交渉後にも合意が難しい問題が両国には残っている。

  • 世論調査の結果を受けて考察
文化や流行などではお互いに良いところを取り入れて認めている部分もあるが、歴史や政治となるとお互いに譲れない点があり、韓国と日本では安全保障の面で利益を共有したり、民主主義国家という共通点があるなら、もう少し柔軟な考えで寄り添って関係改善となることが望まれる。
その反面、慰安婦や竹島などの歴史的な問題に関してはこれ以上の進展は望めないような気がする。


トランプ政権や日米関係に関する緊急世論調査・結果報告

  • 緊急世論調査結果を公表
非営利シンクタンク言論NPO(東京都中央区、代表:工藤泰志)は、2017年1月20日に発足したトランプ政権が、この7月20日で半年の節目を迎える。
そこでトランプ政権や日米関係に関する緊急世論調査を行い、その結果を公表した。
今回の調査は、日本全国の18歳以上の男女を対象に6月17日から7月2日まで、訪問留置回収法により実施し、1000人の回答を分析したものである。

  • 日米関係への不安や疑問
今回の調査では、半数にも上る国民がアメリカに対しての不安が高いことが明らかになった。
それは、トランプ大統領の強気な発言や言動だけでなく、独自の姿勢によるものである。
トランプ政権が発足したことで、今後の日米関係は大きく変わっていくことへの不安ということではないだろうか?

  • これからのトランプ政権と日米関係に注目
日本は日米関係だけでなく、他の諸外国との関係も揺るがす可能性があるのではと疑問視する国民が多い。
日本外交における立ち位置と国際協力を明確なものにしていくべきである。
多国間での関係悪化ともなれば、日本の情勢も大きく変わるに違いない。
今後の動向に注目する必要があるのは言うまでもない。


英仏選挙から考えるEUの将来と民主主義

  • 英仏選挙における民主主義
「フランス大統領選挙とイギリスの総選挙をベースに、EUと民主主義の将来を考えてみたい」という主旨のもと、フランスではEU・再結束派のマクロン氏が勝ち、イギリスではEUからの離脱を主導権を持って進めたいメイ首相が負けるという結果について触れた。

  • 英仏の選挙戦の見解
マクロンが勝利した大きな理由として、フランス政治そのものが非常に硬直化していることが挙げられる。
そういう意味では、既存政治に対する国民の反発が非常に大きかったのである。
更に、オランド前政権でもサルコジ前々政権でも、失業の問題、移民の問題、難民の問題を解決してこなかった。
一方、イギリスの選挙選は意外なものだった。
議席を上積みして、党内の政権基盤を確保する必要があったが、EUへの譲歩に反対する強硬派の影響を受けてしまった。
一見、選挙はEU離脱と関係がないように見られるが、実際はEU離脱が国内化してしまったと言っても過言ではない。
そもそもメイ首相が選挙を打って出たのは、今後のEU交渉に関して権力基盤を固めるという目的だった。
しかし、今回は介護の問題などが論点となり負けてしまった。

  • 国際秩序における日本の役割とは
そもそも、今後、日本はヨーロッパとどのように関わっていくべきなのか?
トランプ政権下である以上、国際協調から身を引くことになる。
それと同時に、今後はEUの重要性と動向が日本にとってより影響してくることになるだろう。
必然的にヨーロッパの価値が高くなることを意味している。


北朝鮮の脅威と日本の有事体制に関する議論、武力衝突の可能性はあるのか?

  • もはや外交交渉は困難か?
そもそも、北朝鮮の核開発問題は1994年のIAEA(国際原子力機関)からの脱退宣言に遡る。
今や脅威となった北朝鮮の核開発問題は、外交だけでな鎮まることはない。
更に、トランプ政権の外交手腕は北朝鮮政策のコーディネーターがいないことや無責任なツイートやメッセージ発言をやめるよう進言する担当者もいない。
北朝鮮に向き合う以前に、少なからず混乱が垣間見えることから、外交交渉はまだまだ未熟なのである。

  • 北朝鮮問題にどう向き合うべきか
北朝鮮に対しては、過小評価することも過大評価することもリスクが伴う。
北朝鮮は、確実に核兵器を運ぶための能力を持てるようになっている。
一方で、核実験やICBMの実験を行なったことイコール対米抑止力をつけたと誤認すると、北朝鮮は更に自信をつけるだろう。
しかしながら、経済制裁、軍事圧力から外交交渉へという道を辿っても、解決への道は開けてこないのが実情なのだ。

  • 核開発の拒否力とは
北朝鮮が核開発やミサイルで脅してきても、それを撥ね退けてしまうような拒否力が求められている。
そのために必要なのは、ミサイル防衛網を徹底して整備すること、日米同盟を強固なものにしていくことである。
また、アメリカが北朝鮮に対し明確な対策を持ち、同盟国との関係を密にすることも重要だ。


現在の自由貿易体制と今後の行方について

  • 現在の自由貿易体制と今後の行方について専門家が議論
アメリカ大統領に就任したトランプ氏は、TPP離脱やNAFTAの再交渉入りなど、保護主義的な経済政策を行っている。しかし、反対に世界各国では自由貿易を推進する動きが強まってきている。こういったことを踏まえ、自由貿易の現在と今後について専門家3人を集め議論を行った。

  • トランプ政権は通商圧力をかける可能性がある?
現在世界的に自由貿易体制を作り上げようという動きがみられる。
しかし、大きな貿易国でもあるアメリカがトランプ政権以降自由貿易に対して難色を示し、世界的にも混乱が見えたのは事実だ。
東京大学社会科学研究所教授の中川淳司氏は、「アメリカはこれまではWTOを中心に考え、WTOの下で二国間で制裁を加えることには抑制的な立場でいた。しかし、その抑制を取り払い、WTO以前のように二国間で一方的な通商圧力をかける動きに出る可能性がある」という見方をしている。

  • 今後の貿易体制はどうなっていく?
現在も保護主義的な経済政策が見られるトランプ政権だが、今後この動きが世界的に拡大していけば世界貿易はどんどん縮小されてしまう恐れがある。
日本は輸入・輸出共に多い国でもあるため、今後このような動きが拡大していけば多くの企業でリスクを抱えることになるだろう。
各国はもちろんだが、日本もWTOのルールを見つめ直し、通商政策をしっかりと行なっていく必要があると考えられる。


イタリアで開催されたG7サミット、各専門家による評価

  • イタリアG7について、専門家はどう評価している?
5月26~27日に開催されたイタリアG7では、トランプ氏が大統領就任後初めて出席するということもあり、世界的に注目を集めていた。
そんなイタリアG7について、日本経済新聞社上級論説委員・実哲也氏、慶應義塾大学法学部教授・田所昌幸氏、前財務相財務官・山崎達雄氏の3人が評価した。

  • 3人の専門家によるそれぞれの評価
まず山崎氏からは元々トランプ氏が原因で話がまとまらないということは考えられていたが、その割にちんと本音が出ていて全体的に言えば評価できるという評価を示した。
一方、田所氏からはそもそもG7というのは本音で議論し共同メッセージを出して結束を強める場であり、今回のG7では結束のアピールはできたものの、グレーな部分も多いと指摘した。
実氏からはポジティブな結果を出しているようには見えず、強く結束できたかどうか不明であると厳しく評価している。

  • 今回のG7で評価できる部分
今回のG7では格差やグローバリゼーションの課題など多く取り上げられた。
特に難民や移民問題について日本としても考えなくてはならない課題を取り上げている。
今回のG7ではこうしたグローバリゼーションの課題を中心に市民目線で意識が向けられていた。
そういったところを見ると、評価できる部分も少なくない。


第7回言論NPO政策勉強会開催、北朝鮮問題を中心に質疑応答

  • 日本の課題解決に向けた勉強会
6月8日、東京都内の言論NPO八丁堀オフィスにて、元自衛艦隊司令官(海将)の香田洋二氏を講師に「第7回言論NPO政策勉強会」を開催した。
ここでは、日本の将来を左右する様々な問題を解決するために、講師や政策当局者、経験者を交えての勉強会が行われた。

  • 香田氏による北朝鮮問題の講演
勉強会当日にも北朝鮮が日本海に向けて地対艦巡航ミサイルを数発発射された。
こうした情勢を踏まえ香田氏は「有事の際の米軍と自衛隊のオペレーションとは、北朝鮮情勢を例にとって」と題した講演を行った。
北朝鮮のミサイル開発のスピードを考えると、これまでにない決定的なステージであると強調している。

  • 北朝鮮の意図とは
北朝鮮の核・ミサイル開発の現状は、あくまでも想定されたことしか伝えられていないが、ここ数日間の中で実際にミサイルを試験発射し挑発していることから、かなり保有していることが伺える。
アメリカが先制攻撃に踏み切れば、間違いなく北朝鮮は全面戦争を現実にするだろう。
北朝鮮が冷却期間に陥った時は、全面戦争するための準備ととらえていいのだろうか。
もしも北朝鮮の国民が「核さえ開発すれば安泰」とすりこまれていた不満が爆発してしまったら、内乱が起こる可能性もあり得る話だ。


第23回アドバイザリーボード会議による7名の意見交換

  • 言論NPO活動において7名による意見交換
6月9日、東京都内で言論NPOによる「第23回アドバイザリーボート」が開催された。
国際文化会長・明石康氏、国際交流基金顧問・小倉和夫氏、明治大学国際総合研究所フォロー・川口順子氏、野村総合研究所顧問・増田寛也氏、宮本アジア研究所代表・宮本雄二氏、大和総研理事長・武藤敏郎氏、キッコーマン取締役名誉会長・茂木友三郎氏の7名により意見交換を行った。

  • 議論のための東京会議立ち上げを紹介
工藤氏は、世界の課題に真摯に取り組むために3月に世界10カ国の有力シンクタンク代表者を集め東京会議で議論することを発表した。

  • 言論NPOの方向性とは
東京会議をベースに課題解決に向けた議論を発信することで、日本の民主主義を強調していくことも可能である。
言論NPOは、世界の対話を継続していくことで、出席者に協力を促すことも期待できそうだ。
ただ、目指すべき方向性について議論を行うとタイムリーな世界問題を優先させるべきなのではないかとも思う。
個人的にはトランプ政権の100日評価も気になるところである。
トランプ氏の評価が下がれば、日米関係にも悪影響を及ぼすことは間違いないだろう。


WAC第1回会議、世界が直面するグローバルな課題を解決するために

  • 有識者会議を開催
6月7日に「ワールド・アジェンダ・カウンシル(WAC)」の第1回会議を開催した。
この会議では、世界が直面しているグローバルな課題の解決や日本国内の議論形成およびその解決策を東京から国際社会に発信することを目的として開催されている。

  • G7タオルミーナ(イタリア)サミットにおける成果と課題がテーマ
今回の会議の内容は、G7タオルミーナ(イタリア)サミットにおける成果と課題となっている。
会議の冒頭で、ゲストスピーカーとして招かれた外務省経済局長の山野内勘二氏からは、ドイツのメルケル首相と並んで安倍晋三首相がG7の最古参であると同時に、米国のトランプ大統領とも話の出来る間柄であるという立場を活用することで、G7の分裂阻止から闘うというメッセージを発信することで大きなリーダーシップを発揮できたことを強調。
さらに今年のG7が、法の支配や人権などの基本的価値観を共有する観点からも重要な枠組みであり、それが依然として有効な状態であるという見解を示していた。

  • 今後の課題解決に向けて
課題としては多くのものがあるが、東京会議としてG7に向けたメッセージが意味のあるものだったという見解ができたが、今後の課題解決のためには継続した会議をしていく必要があるだろう。


第13回東京-北京フォーラム第2回実行委員会・内容報告

  • 第13回東京‐北京フォーラム実行委員会の第2回目となる会議開催
言論NPO八丁堀オフィスにて、第13回東京‐北京フォーラム実行委員会の第2回目となる会議が開催され、25名以上の実行委員が出席。
「日中実行委員会共同事前協議」に関する報告と議論がされた。

  • 日中実行委員会共同事前協議での成果
今回の会議においては、充実してスムーズな対話ができたと高評価な意見で一致しており、このような意見となった理由として張総裁の下での新体制は協議可能な体制になっていたことや、日中双方の意見を上手くバランスを取りながらまとめていたことなどが挙げられた。
「新たな責任者となった中国国際出版集団の張福海総裁の課題解決能力は高い」と、国際文化会館理事長の明石康実行委員長は振り返った。
その結果、日中双方が合意に至った事項は6点という結果になった。
この結果は今までと比べると高評価となっている。

  • 今後の継続していく必要がある
中国の軍拡が今と同じペースで進んでいくのであれば、米中の対立も継続的に続いていくこととなるが、緊張感の中でも日本やこのフォーラムとしての役割は大きなものとなるだろう。


トランプ政権の外交に注目、専門家はどう評価している?

  • 前代未聞のトランプ政権
大統領就任から100日間は、メディアも批判を控えるのが慣例だったが、今回はその間も激しい論争が繰り広げられている。
今回の議論では、ロシア問題の深刻化や支持率の急激な低下など、異例尽くしのトランプ政権が4年後まで続くかどうかに話題が集まった。

  • トランプ政権は4年もつのか
ロシア問題の深刻化は、「ウォーターゲート事件」になぞらえて「ロシアゲート事件」と呼ばれるほどだ。
情報漏えいの報道に関しても怒りや懸念の声が多数上がり、トランプ大統領の支持率は40%にまで落ち込んだ。
共和党が議会の過半数を取っているため、トランプ大統領の弾劾が起こる可能性は非常に低いが、仮にトランプ大統領が弾劾された場合、共和党が有利になるのではないかという指摘が上がった。
トランプ大統領は4年を待たずに辞任するだろうとの意見、4年は持つだろうとの意見の両方が聞かれた。

  • トランプ政権の外交政策と今後
日本国内では、トランプ大統領は日本の動向に関心がないという認識も広がってきている。
また、現在のアメリカの外交政策については、トランプ大統領自身の意見が希薄であることが指摘された。
今後の行動が予測できないこと、外交政策をディールと捉えていることなどから、今後国際関係がますます不安定になることが予想される。


  • 最終更新:2017-11-17 10:39:07

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