東京会議、G7への緊急メッセージ提案を受けての意見交換

各国シンクタンク代表者による意見交換


日本やアメリカなどのG7参加各国と、インドやインドネシア、ブラジルの3ヶ国が加わった10カ国のシンクタンク代表者を集めた東京会議の非公開会議が3月4日に開催。
今回、一番のテーマとして「自由、民主主義と世界が直面する課題」を掲げ、今年トランプ政権が誕生したことによりアメリカ・ヨーロッパ諸国を中心にポピュリズムが台頭してきていること、そして保護主義などが高まってきていることなどを中心に、世界各国のシンクタンク代表者によるグローバル課題に関する議論が繰り広げられた。
午前中に開かれた非公開会議では主に、イタリアで開催されるG7に向けてどんな意見を繰り広げ、何に対して合意すべきなのかを話し合った。
非公開会議は、言論NPO代表の工藤氏から今回の東京会議ではG7に向けて緊急メッセージを提出するということで、開催意義はとても大きいこと、そして民主主義を各国でどう鍛えていくのかが重要という意見でスタートしている。

イタリア政府の提案とは


まずイタリア国際問題研究所所長のエットーレ・グレコ氏から、G7サミットで話し合うべき議論項目は何かについてスピーチが行われた。
グレコ氏によると、イタリア政府は3つのポイントを議論内で提案し話し合う可能性が高いとしている。

・現在テロ攻撃や核・ミサイル攻撃などの影響から、市民をどう守っていくか
・市民の格差や不平等をなくすためにはどうしていくべきか
・新技術が誕生していく中で、非産業化の進行や社会的経済的影響をなくすための経済的イノベーションについて

また、グレコ氏からはイタリアは現在ロシアに向けて経済制裁を行なってはいるが、サミット内で厳しい対応を取る可能性は低いだろうとしている。


様々な意見が飛び交った非公開会議


非公開会議ということもあり、各国のシンクタンク代表者からは様々な意見が飛び交った。
アメリカに対しての意見交換の中で、新トランプ政権の影響を注視すべきとの声が挙げられている。
例えば、アメリカだけではなくグローバル課題の一つでもあるが、難民や移民などの問題。
そもそも国務省の人間が未だ埋まっていないことなど、数多くの課題を持つアメリカには、各国のシンクタンク代表者もサミットにどのような影響をもたらすのか、不安や警戒心を抱いているようだった。

また、アメリカだけではなくロシアの問題について、G7にロシアを加えるべきか否かの意見交換がなされた。
再び冷戦時代を起こさないようにするには新しい関係づくりをG7を通して行うべきという意見が多い。
さらに、より良い関係を築く必要があるが、ここでも今後アメリカがとる行動、そして態度なども重要なポイントになってくるだろう。
難民・移民問題に関して、根本原因の一つとしてアフリカ各国が難民・移民問題に対しての姿勢をもう一度見つめ直し、改善できる新たな取り組みを行なっていくべきだ。
日本人はあまり難民・移民問題に対して消極的な意見が多くみられる。
言論NPOの有識者アンケートによると、およそ半数の人が難民や移民を受け入れるべきとしましたが、安倍政権が掲げる難民政策とは温度差が強く国民一人ひとりの関心はそこまで高くないという結果が出ている。
日本は現在難民対策として、根本的解決を目指すために60億ドルの経済的支援を行い、それに加えて第三国定住目標が進行されていると紹介。
シリア難民に対しては150人程度留学生を受け入れて働く際のサポートも行っているとした。


議論を終えて


午前中の非公開会議を終えると、工藤氏から最後のあいさつとして、「私たち民間組織は、グローバリゼーションの中で生まれた不平等に対し、個人の利益を考え、そこに生まれた距離を狭めていかなければならない。次回のサミットは問題が山積し、かなり厳しいものとなりそうだが、それは来年のカナダでのサミットでも続くだろう」と、自由と民主主義の規範を今一度見つめ直し考える覚悟を要するべきだとした。


様々な課題について話し合われた非公開会議


今回の都響会議では各国のシンクタンク代表者が集い、G7への緊急メッセージ案の検討を中心に話し合いが行われたが、シンクタンク代表者からは厳しい意見もありつつ、世界の自由と民主主義を目指すためにはどうすれば良いのかが真剣に検討されているように感じた。
特に、今年のG7サミットは新たにアメリカ新大統領であるトランプ氏を迎え、サミットが開催される。
トランプ氏がサミットでどのような態度を示してくるのか、懸念を抱いているシンクタンク代表者は少なくない。
そのことを踏まえて今回のG7に向けた緊急メッセージ案が検討されたと言っても過言ではないだろう。
また、近年ポピュリズムによって保護主義の政権がみられることが多くなり、民主主義の存在が危ういものとなってきている。
これを改善するためにも、G7サミットや今回開催された東京会議のような話し合いは非常に重要なものとなるだろう。

  • 最終更新:2017-11-17 10:45:32

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