東京会議初日の非公開会議報告会での意見交換内容とは

非公開会議で行われた意見交換


3月3日、東京都内の国連大学において、世界10カ国のシンクタンクの代表が東京に集まった。
3日間にわたる「東京会議」の議論が開幕である。
初日である3日は、東京会議創設を記念した公開セッションを翌日に控え、各国間で非公式会議が行われた。
ここでは、民主主義の対する懸念やトランプ政権発足による世界的秩序の変化などについて意見交換された。


本当の意味の民主主義とは


ドイツ国際政治安全保障研究所(SWP)調査ディレクターのバーバラ・リパート氏が、「移民、難民とヨーロッパにおけるカオス」と題して報告を行った。
リパート氏は、中東から大量の難民が押し寄せた2015年の夏が、欧州にとって新しい転換点になったということを回顧した。
対応をめぐって欧州内で意見が分かれ、締約国間での人の自由な移動を保障し、欧州統合の一つの要でもあったシェンゲン協定が危機に晒され、EUの政治的結束に大きな打撃をもたらし、ひいては安全保障問題にも影響が出てきていると説明したのだった。
当初、ドイツは難民受け入れに積極的だったが、欧州の市民は政府が対応に失敗していると見做した。
課題を解決できないことで反発は高まっている。
また、民主主義の本当の意味を見い出せなければ、非現実的な政策を掲げるポピュリストたちがますます台頭してしまうのではないだろうか。
民主主義の本質や課題への姿勢が問われているのである。


トランプ政権発足によって変わる世界秩序


米国の大統領選挙は世界的に注目される大イベントであった。
しかし、トランプ大統領が誕生すると思っていた人々はどれだけいたのだろうか。
こうしたトランプ大統領誕生の理由について米国・外交問題評議会(CFR) シニアバイスプレジデントのジェームズ・リンゼイ氏はこう語る。
グローバリゼーションの恩恵を最大限に享受し、空前の繁栄をしてきた米国の中で、取り残された人々の不安が高まり、それを上手くすくい上げたのがトランプ氏の大統領選勝利へと繋がったのではないだろうか。
しかし、トランプ大統領はこれまで構築してきた自由民主主義を軸とするリベラルな世界秩序を弱体化させてしまう可能性があると言われているのだ。
実際に、政府内部や議会でも、既存の秩序を取り戻して欲しいと考えている人が多いのである。
また、トランプ大統領は閣僚が発言をチェックしていることを受け、修正しようとしているのも事実だ。
米国が今までのままこれまでの秩序の担い手から変わっていくかもしれない。
だからこそ、米国以外の諸外国がリベラルな価値や規範の重要性を見直し、政策についても懸命な選択を迫られるだろう。
トランプ大統領は、3月1日に出された通商政策課題に関する政権初の年次報告書では、WTOルールに従わないということが明言されていた。
「WTOルールに基づく既存の通商秩序が壊れてしまうのではないか」と深刻な懸念が挙げられていた。
このような秩序の破壊は何を意味するのだろうか。


トランプ大統領の資質を懸念する意見も


トランプ大統領は、民主主義における国の力を問題視していた。
民主主義に関わらず、国全体が内向的となっていること、雇用も縮小していっていることを考え、不確実な時代に突入したのではないだろうか。
米国は、これまで世界中のリーダシップを取り発展してきた。
トランプ大統領政権が誕生したことで米国のリーダーシップ発揮は期待できないのだろうか。
EUでは大西洋間の問題が議論になったことはないが、これからは対米国の政策を考えなければいけない。
米国の指導力が期待できない中で、EUの力、一体性を見せていかなければならず、同様の価値観を持っている国々と同盟していくことも必要だろうという意見も出されていた。
更に、そもそもトランプ大統領はこれまでの産業に捉われて新たな産業に対しての知識がまるでわかっていない。
反米主義の国も出てくる可能性があるだろう。
一方で、トランプ大統領は確かに世界的に見ても不人気となっているが、米国の世論は分断している。
こうした世論の支持率が影響してトランプ大統領は行動するはずなのだとも言われているのが事実だ。


米国か中国か


これからの時代、米国側につくか、はたまた中国側につくかということ中国を取るかというオプションが限られている。
地域的にも近いため東南アジアの国々は中国に傾くしかなく、これが中国を利することにもなっている。
トランプ政権が発足したことで、結果的に米国に対しの懸念があり中国にメリットを与えているということが実態である。
しかし、高齢化や経済状況、政治制度など、様々な面から見ても中国は弱体化してきている。
実際、中国国民は政治に対して不満を抱いたり、信じていない人が多い。
このような弱点に対してどう対応していくかを考える必要があるだろう。
また、米中関係においても北朝鮮問題にどう向き合っていくかが優先されていくだろう。
米国も中国も、自国の貿易や民主主義としてのあり方を考える必要があるのだ。

  • 最終更新:2017-11-17 10:44:52

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