第五回日中共同世論調査

調査概要

日本側の世論調査は、日本全国の18歳以上の男女(高校生を除く)を対象に5月19日から6月17日まで、訪問留置回収法により実施された。有効回収標本数は1000である。

日本有識者調査では、国内 の企業経営者、学者、メディア関係者、公務員など2000人に質問状を送付し、うち500人から回答を得た。回答者の最終学歴は、大学卒が 72.0%、大学院卒が21.0%で合わせて93.0%となる。
なお、世論調査では、回答者の最終学歴は高校卒が48.8%、短大・高専卒が19.8%、大学卒が18.4%、大学院卒が1.6%だった。

中国側の世論調査は、北京、上海、成都、瀋陽、西安の5都市で18歳以上の男女を対象に、実施され、有効回収標本は 1589。そして、日本側の有識者調査に対応するものとして、中国では北京大学が実施主体となり、学生を対象としたアンケートを毎年実施しており8北京大学、清華大学、中国人民大学、国際関係学院、外交学院の学生を対象に行われ、1008人から回答を得た。

結果

日本人のうち、中国への訪問経験があると回答した人は14.5%で、中国人で日本への訪問経験のある人はわずか0.9%である。
また、「親しい」友人・知人や、「多少話をしたりする」中国人の友人・知人がいる日本人は合わせて16.4%で同じような日本人の友人・知人を持つ中国人は5.1%とそれぞれ少ない。

日本人の中国に対する印象は、「どちらかといえば良くない印象を持っている」が62.7%と最も多く、「良くない印象を持っている」の10.5%を加えると、合わせて73.2%となる。
「印象が良くない」あるいは「どちらかといえば良くない」と回答した人は「食品の安全の問題などで見られた中国政府の対応に疑問があるから」(81.0%)を最も大きな理由に挙げており、次いで「歴史問題などで日本を批判するから」が41.8%、「資源やエネルギー、食料の確保などの行動が自己中心的に見えるから」の35.9%が上位に並んでいる。

この一年間の印象の変化でも、「特に変化していない」の63.8%と最も多い。
これに対して、中国人の日本に対する印象も、「どちらかといえば良くない印象を持っている」が35.6%、「良くない印象を持ってい る」が29.6%となっており、日本に対してマイナスの印象を持っている人は6割を超えている。
「中国と聞いて何を連想するか」という問に対して、最も多かった回答は「中華料理」の52.0%昨年は46.2%)で、以下、「万里の長城」37.9%と「安価な日用品」が25.0%が上位に並んでいる。
「知っている中国の歴史上の出来事や事件」では、今回新たに設けた「北京五輪」が91.7%で最も多い。次に、「天安門事件」の72.2%、「香港返還」が62.5%と続いている。

「知っている中国の政治家」では、「毛沢東」氏が92.6%、次いで「胡錦濤」氏は69.7%となった。
中国人の日本に関する理解では、「日本と聞いて連想するもの」として最も多いのは昨年と同じく「南京虐殺」の65.3%で、「電器製品」の50.5%や「桜」の36.1%、富士山の24.7%を上回った。

なお、今回新たに「マンガ・アニメ」という選択肢を設けたが、世論調査では8.2%にとどまったのに対し、学生では40.2%となった。

日本の歴史に関する知識では、「満州事変(柳条湖事件)や中日戦争」が86.2%、「米国の広島・長崎への原爆投下」の39.8%である。

「知っている日本の政治家」では、「小泉純一郎」氏が64.4%で今年も引き続きトップとなり、「麻生太郎」氏は31.6%で第二位となった。

現在の日中関係に関する認識は、両国ともに改善傾向は見られている。
日本では、現在の日中関係を「悪い」と回答する人は、「非常に」と「どちらかといえば悪い」を合わせて36.9%となり、昨年の46.1%から10ポイント近く減少しており、「良い」と判断する人はわずかだが増加している。
ただ、日本では最も多いのは「どちらとも言えない」の48.1%である。

これに対して中国では、「良い」と回答した人は「非常に良い」と「どちらかといえば良い」を合わせて71.0%となり、「悪い」という回答は20.5%にとどまった。
ただ、今回、中国側の設問では「どちらともいえない」という選択肢を削除しているため、昨年と単純な比較はできない。

今後の日中関係については、中国人で「良くなっていく」「どちらかといえば良くなっていく」と回答した人が合わせて51.2%と半数を超え、「悪くなっていく」「どちらかといえば悪くなっていく」は4.6%にすぎない。
日本人で最も多いのは「変わらない」の39.3%だが、「良くなっていく」「どちらかといえば良くなっていく」と見ているのは合わせて31.1%、「悪くなっていく」「どちらかといえば悪くなっていく」は合わせて13.0%だった。

「両国関係の発展を阻害する問題」については、日本では「中国産品の安全性」が46.2%と最も多く、中国では「領土問題」が49.2%で最多となった。

また、両国民ともに8割以上が日本と中国の「両国関係は重要」と回答している。
ただし、両国関係と米国との関係のどちらが重要かという設問では、「どちらも同程度に重要である」が半数を超えているものの、両国民ともに、日中関係よりも日米、中米関係を重視する人が日中関係を重視する人よりも多い。

ここ数年日中両国の首脳による相互訪問が増えており、政府間交流が盛んに行われるようになっているが、その成果については両国民とも、「回数を重ねているだけで評価できない」が4割以上を占めて最多となっている。

首脳会談で議論してほしいテーマとしては、日本は「北朝鮮問題」、「食の安全・安心の問題」となっているのに対し、中国では、「歴史問題」「貿易・投資など経済協力関係の強化」である。

歴史問題に関しては、日本人は「両国関係が発展しても歴史問題の解決は困難」と34.3%が答えている。中国人では「両国関係が発展するにつれて歴史問題は徐々に解決する」との回答が57.5%で最多となった。これも過去5回全ての調査で50%を上回っており、中国人はより楽観的といえる。

解決すべき歴史問題としては、日本人の55.7%が「中国の反日教育や教科書の内容」と答えているが、中国人は72.1%が「南京虐殺に関する認識」と回答。
日本の首相の靖国神社参拝については、「参拝しても構わない」「私人としての立場なら構わない」と容認する日本人が、71.7%であるが、中国人では「公私ともに参拝すべきではない」との回答が61.7%となっている。

  • 最終更新:2017-09-28 16:16:32

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